秩父銘仙とは

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国指定伝統的工芸品

国指定伝統的工芸品

2013年12月26日に国の伝統的工芸品に指定されました。埼玉県では江戸木目込人形、春日部桐箪笥、岩槻人形に続き四例目として、「秩父銘仙」が国指定伝統的工芸品に指定されました。

国の伝統的工芸品に指定されると、次のようなメリットがあります。

  • 後継者育成や需要開拓などの事業に対して国の財政的支援を受けることができます。
  • 一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が実施する全国の伝統的工芸品の物産展等への出店

歴史

歴史

「秩父銘仙(めいせん)」は、崇神天皇の御代に知々夫彦命が住民に養蚕と機織の技術を伝えたことが起源と言われています。

秩父は山に囲まれた地形で、稲作に向かないことから養蚕業が盛んでした。その中で規格外の繭を使い「太織」と呼ばれる野良着を生産していました。その太織が評判を呼び「鬼秩父」とも呼ばれ大衆の普段着として好んで使われてきました。

その後太織は「秩父銘仙」と名前を変え、「ほぐし捺染」技術の開発により大胆で華やかなデザインの織物になりました。秩父銘仙は女性の間で手軽なおしゃれ着として大正から昭和初期にかけて全国的な人気を誇るようになりました。 当時は養蚕業などを含めると市民の約七割が織物関係の仕事に関わっていたと言われ、 まさに秩父地域の基幹産業でした。

「銘仙」の語源については諸説ありますが、明治20年ころから太織は「めいせん」の名前で販売されはじめ、明治30年初期に東京三越で販売された際に、「産地それぞれが責任を持って優良品を選んだ」との意味から「銘撰」の字が当てられ、その後に「撰」が「仙」に変わり「銘仙」となったとされています。

「ほぐし捺染」
「ほぐし捺染」

秩父地域出身の坂本宗太郎氏により明治41年特許が取得された技法です。そろえた経糸に粗く緯糸を仮織し、そこに型染めをし、製織する技法です。製織の際に仮織りした緯糸を手でほぐしながら織っていくため、「ほぐし捺染」や「ほぐし織り」と呼ばれています。

糸に型染めをするため表裏が同じように染色され、裏表のない生地ができあがります。また、経糸の型染めの色と緯糸の色との関係で角度によって色の見え方が異なる玉虫効果が見られる場合もあります。